この映画を観る① (20030604)
記念すべき第1回の巻
小学校低学年の頃、僕のヒーローはウルトラマンとタイガーマスク(アニメ)だった。
僕の親父はサラリーマンだった。
僕が小学校に入学した頃からだと思うが、親父はボーナスを支給されると子供たち(当時我が家は4人兄弟だった)に自分達の欲しい本を1冊買ってくれるようになった。
昭和43年(1968年)のボーナス記念に僕が買ってもらった本は「プロレス入門」である。表紙を開くと物凄く汚いひらがなで「いりきいんしげひろ」と書いてあるこの本は、今でも大事に保管されている。はずだ。きっとどこかに。
昭和45年(1970年)の「大阪万博」の年に買ってもらった本は、「ウルトラ怪獣入門」だった。
僕は「○○入門」というシリーズが好きだった。
実は前年の昭和44年(1969年)には「プロ野球入門」を買ってもらっている。
この本は「少年野球入門」という本を友達が持っていて、同じ本が欲しかったけど売り切れていてしょうがなく買った本だった。
さて、「ウルトラ怪獣入門」によると、当時の最強の怪獣は、どうやらレッドキングであった。
「架空対決、レッドキング対ゴモラ」によると、たしかレッドキングがその強烈な腕力でゴモラの首をへし折ったはずだ。
前置きが長くなりましたね。
何が言いたいかというと、僕は○○入門シリーズの中にある「△△対××」という読み物がまた格別に好きだったのです。ということです。
プロレス入門の「ゴッチ対ハーケンシュミット」(これは架空ではない)などは繰り返し読んだものです。
そういうわけで、新企画「この映画を観る」の記念すべき第1回目は、この「架空対決、レッドキング対ゴモラ」に敬意を表して
「架空対決、マーロン・ブランド対ロバート・デ・ニーロ」
これに決まった。
対決1.デビュー時の衝撃度比較
デ・ニーロの映画デビューは「青春のマンハッタン」(1968年)で、実はこの映画は観ておりません。
その後、マーティン・スコシージ監督と出会って「ミーン・ストリート」くらいから、その実力が開花するわけだけど、デ・ニーロの圧倒的な演技力を印象付けたのは、やっぱり「タクシー・ドライバー」(1976年:デ・ニーロ33歳)でしょう。
日本でも封切前からデ・ニーロの評判が高かったことを、当時僕はまだ中学生だったけどよく憶えている。
さてマーロン・ブランドがデビュー当時に与えた衝撃は、いろいろ読む限りではデ・ニーロの比ではなかったようだ。
何しろ1951年に映画デビューしているけど、最初から「革命児サパタ」とか「欲望という名の電車」なんていう傑作ぞろいだ。
「タクシー・ドライバー」のトラビス・ビックルも凄いけど、「欲望・・」のスタンリー・コワルスキーの強烈さの前には、流石のデ・ニーロ御大も「くく、ま、負けましたぁ」って感じかな。
そういうわけで、「タクシー・ドライバー」と「欲望という名の電車」、この2本は必ず観よう。
対決2.円熟期比較
女優と違って、男優は40~50代になってからがまた渋くていいよね。
「三つ数えろ」のハンフリー・ボガートは当時47歳だった。もう最高に渋くて格好いいよね。当時22歳のローレン・バコール(超イカス美人でした)がメロメロになってしまったのもうなずける。
さて、ブランドが48歳のときの作品が、あの超名作「ゴッドファーザー」(1972年)だ。
そして、同じ48歳で、デ・ニーロは「ケープ・フィアー」(1991年)に出演している。この作品で比較されるとデ・ニーロは苦しいなぁ。
ケープのデ・ニーロの異様な怖さには「もう、デ・ニーロ様しか考えられない」って感じだったけど、何しろゴッドのブランドは一世一代、100年に1本の名演技。
文句無しでブランドの圧勝
そういうわけで、「ゴッドファーザー」と「ケープ・フィアー」も必見。
ちなみに「ゴッドファーザー・パート2」(1974年)では、ブランドが演じたビトー・コルリオーネの若い頃を、デ・ニーロが演じている。
よって「ゴッドファーザー・パート2」も当然必見。
対決3.アカデミー賞
ブランドは「波止場」(1954年)とゴッドファーザー(1972年)で主演男優賞を受賞。また、「地獄の黙示録」(1979年)で主演男優賞に、「白く渇いた季節」(1989年)で助演男優賞にノミネートされている。
対するデ・ニーロは、「レイジング・ブル」(1980年)で主演男優賞を受賞、遡って1974年に「ゴッドファーザー・パート2」で助演男優賞を受賞している。
ノミネートの方は「タクシー・ドライバー」、「ディア・ハンター」(1978年)、「レナードの朝」(1990年)、「ケープ・フィアー」で主演男優賞にノミネートされている。タクシーは言うに及ばず、ディア・ハンターのデ・ニーロもすこぶる強烈で格好よかった。
この勝負は両者引き分け。
上に挙げた作品は、全て必見の傑作。
と言いつつ「白く渇いた季節」という作品は、僕も観ておりません。失礼しました。
結果発表
そういうことで新企画「この映画を観る」の記念すべき第1回目、「架空対決、マーロン・ブランド対ロバート・デ・ニーロ」は、僕としては時間切れ引き分けとしたいところだけど、身長が3センチ高いという理由でマーロン・ブランドの勝ち。
とにかくそういうわけだ。
どちらかというと僕としては、次回の記念すべき第2回目に是非とも期待して欲しい。
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