この映画を観る⑫ (20060701)

 

ワン・コイン(500円)名作シリーズ

 

昭和47年、小学校5年生の春だった。

僕が初めてマクドナルドのハンバーガーを食べたのは。

開店したばかりの代々木駅前のマックではガラス越しにバンズを焼く作業が見学できた。ハンバーガー80円、チーズバーガー100円。

しばらくするとすぐ20円値上がりして、それぞれ100円と120円になった。

便乗値上げじゃないけど少年マガジンも80円から100円に値上がりした。

なんだかごく当たり前のように何でも普通に値上がりしていた。

昭和40年代とはそういう時代だった。

 

500円硬貨1枚で「ローマの休日」とか「カサブランカ」のDVDが買える時代になった。

初めて店頭で見たときは、ブートレッグ(海賊盤)かと思ってしまった。

DVDだ。毎日毎晩見続けても、それでもやっぱり美しい画像でヘップバーンやバーグマンに出会える。なんてったってDVDだ。

なんでも製作してから50年以上経った映画は版権にしばられないらしく、1500円で売ってもメーカーは120円くらい儲かるらしい。ツタヤで一晩借りたって300円くらい払うことを思えば、500円で買えるメリットというのはとっても大きい。

 

僕は、小学校三年生からお小遣いをもらうようになった。

三年生のときは300円、四年生で400円、五年生で500円、六年生で600円。

当時の僕のお小遣いは毎年100円づつ、率にして20~30%も上がっていったわけだ。

まさか父の月給は毎年こんな率で上がってなかったろうけど。でもきっと今のサラリーマンと比較すれば驚くほどの率で昇給していたにちがいない。

昭和40年代とはきっとそういう時代だった。

 

500円のことを考えてたら、小学校五年生のころを思い出した。

五年生になってお小遣いが百円玉4枚から五百円札1枚になってすごく嬉しかった。

夢だったビッグマックとフライドポテトのセットを代々木駅前のマックで食べた。

食べ終わらないうちからお小遣いを使い果してしまったことを猛烈に後悔した。

当時、僕は「タイガーロケッティ」という固形ジェット燃料を使って飛ばす模型飛行機(バルサ材の簡単な飛行機だけど、ジェットエンジンだから物凄い勢いで飛んだ。)に凝っていて、このジェットエンジンが500円で買えた。

タミヤのプラモデル(35分の1の戦車シリーズ)もよく作った。これも500円くらいだった。

 

そんなわけでやっぱりいつの時代も500円ていい値段だ。

子供時代は子供なりの夢が500円で買えた。

僕は映画が好きだから500円で昔の名作DVDが買えるのは本当にうれしい。

1回アカデミー賞の作品賞を受賞した「翼」は、僕は昔から見たかった映画だけど、500DVDのおかげで初めてみることができた。

たぶんヒッチコック作品なんかは店頭に出れば片っ端から購入すると思う。

子供の頃、日曜日の昼間によくテレビで放映していたジェリー・ルイスとディーン・マーチンの喜劇ものとかも販売してくれるとうれしいな。

30年~40年代のフランス映画、50年代のイタリア映画、あと黒澤や小津、ベルイマンとかも出してもらいたい。

できれば値段も努力して250円くらいになればもっともっとうれしいのになぁ。

 

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