これであなたもロック通③ (20030626)

 

サイケからプログレへの巻

 

このシリーズの第二回目「クラプトンは神かそれとも悪魔かの巻」の発表から、早くも1年近くが過ぎようとしていた。

うーん、ロック通には一朝一夕にはなれないわけだ。

このぶんだと、このシリーズが完結を迎えるまで、あと48年ぐらいかかりそうだな。

 

さて、久しぶりのこのシリーズ第三回目は、プログレッシブ・ロックである。

プログレッシブ・ロックというのは、前衛的なロックというわけだけど、この70年代前半の一大ムーブメントを誇った「プログレ」も今やロック・ミュージックの古典である。

 

当然ロック通を目指すからには避けては通れない。

 

もともとロックはブルース(アメリカ黒人音楽)やカントリー(アメリカ白人音楽)をルーツにしているわけだけで、ようするに原産地はアメリカと言っていい。

しかしながら、それまで「単なる子供向け音楽」だったロックを「大人が鑑賞するに堪えうる音楽」まで発展させたのは、ひとえに大英帝国のビートルズの業績によるところが大だ。

 

当然プログレも、ルーツを遡ればビートルズに辿りつく。

 

ビートルズは1965年のアルバム「ラバー・ソウル」から実験的色彩が非常に濃くなってきたけど、1966年の傑作アルバム「リボルバー」が、まずプログレの前段階であるサイケデリック・ミュージックの幕開けを告げた。

サイケ・ミュージックというのは「幻覚的な音楽」ということだけど、具体的には「リボルバー」の中の「トゥモロー・ネバー・ノウズ」がサイケの元祖と言われているので、ここでもう一度是非とも確認しておこう。(3分くらいの曲だけど、コード進行というものがない。使われているコードはCただひとつという、まさに驚嘆すべき曲)

 

ピンク・フロイドはプログレの代表格だけど、1967年のデビューアルバム「夜明けの口笛吹き」を聴いてみるといい。いや、必ず聴かなければいけない。

ここで、いわゆる代表的なサイケ・サウンドを聴くことができる。

 

余談になるけど、同時期アメリカでもサイケ・ブームがおきるけれど(グレートフル・デッド、ドアーズ等)、その後英国サイケ・ロックがプログレに進んだのと違う展開をみせることになる。このあたりはまた別の機会に詳しく書こう。

 

さて、ビートルズが「リボルバー」の次に世に送り出したのが「ポップ・ミュージックの奇跡」、「ロックを決定的に変えたアルバム」、「20世紀音楽の最大の事件」と謳われる「サージェント・ペパーズ」だ。

アルバムが単なる曲の寄せ集めではなく、アルバムそのものに一つのストーリー性をもたせた「トータル・アルバム方式」の元祖がこのアルバムだ。

ピンク・フロイドに代表される当時の英国実験サイケバンド達は、この「サージェント」を聞いて「ロック・アルバムの果てしない可能性」に目覚めたわけだ。

そういうわけで、ビートルズがあまりにも早く進化するため、結果的にサイケ・ブームはあっという間に終わりを告げることになった。

 

ようするにプログレ・バンドというのは、ビートルズが試みた音楽的実験をさらに押し進めたバンドである。

彼らはロックにクラシックやジャズと取り入れたり、シングル中心からアルバム中心へと大曲指向を打ち出したりした。

 

さて、プログレの概略は理解できたであろうから、最後に代表的なプログレ・バンドと僕のお勧めするプログレ・アルバムを10枚紹介しよう。

 

キング・クリムゾン

1「クリムゾン・キングの宮殿」、②「レッド」

 

ピンク・フロイド

1「狂気」、④「ザ・ウォール」

 

エマーソン・レイク&パーマー

⑤「タルカス」、⑥「展覧会の絵」

 

イエス

⑦「こわれもの」、⑧「危機」

 

ジェネシス

⑨「フォックストロット」

 

ムーディー・ブルース

⑩「童夢」

 

というわけで、次回のテーマは「アメリカン・サイケのそれから」ということにしょう。

 

 

 

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